中学校 社会【今こそGOTOキャンペーンを考える】
大分県佐伯市立佐伯城南中学校 立石俊夫
2020年7月22日より実施されたGOTO(トラベル)キャンペーンについて、その3日前より取り組んだ4時間と3日の単元学習。(3日間は情報収集期間)中学生が「今」を考えたぬいた「ウイズコロナ」の授業デザイン。
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2020特別な夏だからこそGOTOキャンペーンを考える
この授業デザインのここ見て!!
公民的分野「対立と合意」を、まさに今、コロナ禍真っ只中にある生徒とともに「答えのない問い」に挑戦。
単元計画の「課題設定→情報収集→整理→分析考察→まとめ→振り返り」の各過程をプロット図でわかりやすく可視化。
整理および分析考察において、それぞれ最適と思われるロイロシンキングツールを活用。
それぞれの過程において「わかったこと」を累積し、最終的にその全てを「まとめ」「ふりかえり」の過程で活かす「入れ子構造」を意識。
多角的考察の方法として、ロールプレイングを採用し、ジグソー学習も合わせて、生徒の主体的で対話的な学びを実現。
【単元目標】
「GOTOキャンペーン実施について、人々はどのように考えているのかを調査し、それを分析した結果を踏まえて自分たちの結論を導き出そう。
【学習課題(アンケート課題)】
「あなたは「GOTOキャンペーンは今やるべきではない」という意見に賛成ですか。またそのようにお考えになった理由をお教えください」(Googleformで作成し、生徒が教師や保護者に直接依頼)
【社会科における見方、考え方】
情報収集の方法を学び、その整理と分析結果をシンキングツールで可視化しながら、「もっと適切な方法はなかったのか」「何か足りない点はないか」など結果と調査方法の因果関係も視野にいれたクリティカルな自己分析を行う。
課題に対しては、単にGOTOキャンペーンに賛成反対だけではなく、多面的多角的な考察をおこない、さらにその先にある経済面、医療面の双方にとってwinwinの考えを提案する。
【メタ認知の場面】
アンケート整理と分析
ジグソー学習の前後の変化
振り返り
【ICT機器の利活用】
ロイロノートシンキングツール(バタフライチャート、ベン図、キャンディーチャートほか)
メンチメーター(学びに向かう力の把握、発言内容の宣言)
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【授業展開4時間扱】~情報収集後の「整理」「分析考察」「まとめ振り返り」の過程~
情報整理ではバタフライチャートを活用し、賛成反対を理由別に検討。またアンケート自体に問題はなかったのかを自分たちでクリティカルに検討(誤った回答の原因追求など)
情報分析①はベン図を活用し、経済面と医療面の2つの面で多面的な考察。共有部分は「どちらにとっても良いアイデアはないか」を記入。そのアイデアの理由付けと見通しをキャンディーチャートで可視化。
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情報分析②では多角的考察。11種の職業や立場を想定して、ステークホルダーごとにジグソー学習。その後ピックアップされたグループごとにロールプレイング。
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まとめと振り返りでは、ロールプレイングのグループごとにピラミッドチャートで「合意点=納得解」を発表。その後、アンケート協力者にアンケート結果と考察などを記入した報告書を作成(まとめとする)。
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振り返りは、下記のロイロアンケートカード集計後に発表。
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最終判断では、自分たちがおこなったアンケートに初めて、これまでの学習を踏まえて自分たちの意見で答える。ここまで生徒は一度も自分たちの意見を表明していない。ロイロアンケートカードを使用。(ピンク1は「今すべきではない」という意見に強く賛成)
社会科ノートは左ページが分析①まで。右ページが分析②と振り返り。右ページは教師の指示のみ。
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【まとめ】
情報収集の手順、分析考察の方法なども学習することで、一般化される見方や考え方の育成にも取り組んだが、コロナ禍の中、情報の基礎となる対象が少ないことや狭いこと(街頭調査などができない)で生じる「データの確かさ」の問題にも生徒自身が気づき、さらに「このアンケート自体にも修正」が必要と感じていた。これはクリティカルな自己分析にもメタ認知にもつながる収穫だと考える。
コロナ禍の真っ只中に生きている生徒とともに、今すべきこと、今学ぶべきこと、今考えるべきこととして、この課題を設定することができた。元来「社会科」とはこういう課題を追求する教科であったはずだと、私自身も再認識できた。
ロイロのシンキングツールを活用することで、生徒は可視化された友達の思考を共有できるようになり、その結果、対話が促進され、新しい考えをともに生み出す、創り出すことができるようになった。相手の考えが「わかる」ことが協働であり、対話の第一歩であるという、クラス全体のコンセンサスが生まれた。